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大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一; 小野田 忍; 平尾 敏雄; 伊藤 久義
no journal, ,
炭化ケイ素(SiC)半導体を用いた耐放射線性粒子検出器開発研究の一環として、酸素及びシリコンイオン入射によりSiC npダイオード中に誘起される電荷をイオン誘起過渡電流(TIBIC)により調べた。SiC npダイオードはp型のSiCエピタキシャル膜状にリンの高温(800C)注入及び1650C熱処理によりn領域を形成することで作製した。作製したnpダイオードに6MeV18MeVのシリコン又は6MeV15MeVの酸素イオンマイクロビームを照射しTIBIC測定を行った。その結果、印加逆方向電圧の増加とともに電界強度が強くなり、空乏層長も伸張することに対応してTIBICシグナルが大きくなり、下降時間が短くなることが観測された。さらにTIBICシグナルを時間積分することで収集電荷量を見積もったところ、イオンの飛程が空乏層長よりも短くなる範囲では収集効率が100%となり、SiCが粒子検出器として応用可能であることが見いだされた。
Pensl, G.*; Frank, T.*; Reshanov, S.*; Schmid, F.*; Weidner, M.*; 大島 武; 伊藤 久義
no journal, ,
炭化ケイ素(SiC)半導体の浅い準位及び深い準位を持つ欠陥についてレビューをする。SiC中の炭素サイトに存在する窒素(N)は、浅い準位であるドナー不純物として働くことが知られているが、シリコン(Si)や炭素(C),ネオン(Ne)との共注入を行うと、すべての場合でNの電気的活性化率が減少することが見いだされた。このことはボロンとC共注入で報告されているサイトコンペティションモデルとは相反する結果である。今回の結果を解釈するために、200keV電子線をN注入したSiCへ照射した。200keV電子線がSiC中のCのみをはじき出すことを考慮して解析を行った結果、NとCサイトの空孔の複合欠陥(N-V)が生成され、Nドナーの電気的活性化率低減を引き起こしている可能性が示唆された。また、硫黄(S)イオン注入したSiCの深部準位測定(DLTS)測定を行うことで、Sが深い二つの準位を持つドナー不純物として振る舞うことが明らかとなった。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 吉川 正人; 岩沢 美佐子*; 中村 智宣*; 土田 秀一*
no journal, ,
Siに比べ優れた物理特性を持つSiCを用いた半導体デバイスは、従来のSiやGaAs半導体デバイスでは動作が困難な、原子炉や宇宙環境等、極限環境下で用いられる素子として期待されている。しかしながら、SiCの酸化膜とSiCの界面には界面欠陥が多く存在しており、この欠陥構造がSiCデバイスのチャネル移動度低下の原因となっている。半導体素子界面では原子構造が作り出す電子状態がその電気特性に影響を与えることから、界面欠陥構造とデバイス特性との関連性を追求することが重要である。本研究では、デバイス特性に影響を与える欠陥構造の解明を目標とし、欠陥を含んだ実際の界面に近い状態の原子構造を計算機上で模擬しエネルギー準位の計算を行っている。シミュレーション計算には地球シミュレータを用い、第一原理分子動力学計算による加熱・急冷計算によってアモルファス界面構造を構築し電子構造を決定した。シミュレーションには444原子の原子構造モデルを用い、加熱温度4000K、加熱時間3ps、急冷速度、終端以外の層の可動、界面のSiC可動層4層との条件を用いた。急冷時の2200Kにおいて終端固定層を開放し自由端とすることによって、層でのアモルファス化を促進させた。生成された界面は初期構造では界面Si原子に存在したダングリングボンドが消滅しており、清浄界面に近い状態が再現されていた。しかし、バンドギャップ中にはいまだ準位が存在し、欠陥準位は界面付近に存在する酸素原子の結合に寄与しない局在電荷分布に起因しているこがわかった。
吉川 正人; 中村 智宣*; 宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 土田 秀一*
no journal, ,
界面中間層のない急峻な界面形成を目指して、水素雰囲気下で表面をエッチングして平坦化させたエピ膜付4H-SiC基板表面に、シランと亜酸化窒素を用いてSiO膜を化学気層成長させた。電気的に良好な特性を有する堆積酸化膜形成条件をCV法で調べた結果、酸化膜堆積温度が850C以下で堆積後のアルゴンアニーリング温度が1100Cを超えると、界面の電気特性が良好になることがわかった。